<今月の温泉>'99.6〜9
法師温泉は国道17号を新潟に向かう県境近くの山間に湧く、秘湯ムードいっぱいの温泉です。
バスだと猿ヶ京温泉で村営バスに乗り換えて行くことになります。
猿ヶ京温泉から3km程進み、「法師温泉」への看板に従い左折して山間の細い道を進んだどん詰まりに法師温泉の一軒宿、「長寿館」がありました。
かすかに頭を見せている三国山の向こうはもう新潟県です。

長寿館は明治の建物をそのまま残した、木造の建物です。
屋根は板葺きで、苔や草が生えていたりして、歴史が感じられます。
玄関横の「御入浴客御定宿」の看板もいい味を出していますね。
玄関を入ると正面には巨大な切り株のちゃぶ台が鎮座してます。この隣の部屋は囲炉裏になっているらしいのですが、残念ながら、見損ねました。(;_;)
内部も外観の予想を裏切らず、黒光りする太い柱や梁、磨き込まれた板張りの廊下で、昔の旅篭を思わせる造りです。
ただ単に古いだけではなく、良く手入れされていて、特に廊下は歩いてもギシギシ軋んだりしません。
良いものを守って行こうという宿の心意気を感じました。
部屋の内部もこれぞ!「日本旅館」といった感じの造りです。
写真には写っていませんが、天井には太い梁がでーーんと渡されています。
黒光りする柱や明かり取りの障子、少し暗目の白熱電灯もぴったり雰囲気作りにマッチしています。
窓の外には、太い楓の緑越しに西川の流れを見下ろすことが出来ます。
この日は満室状態にも関らず、聞こえてくるのは川のせせらぎと鳥の声のみ。夜には鳥に替ってカジカの声が聞こえてきました。
のんびりした刻が過ごせました。
さてと一服したところで、、お風呂に行きましょう!
長寿館のお風呂は国鉄時代のフルムーン旅行のポスターの、高峰三枝子と上原謙の入浴シーンで、一躍有名になりました。
浴舎は玄関からみると一番奥に位置しています。
玄関横の廊下を進んで「ゆ」の暖簾をくぐると、浴室の入口らしい扉が二つありました。
あれ? どっちが男用で、どっちが女用?
混浴だということは知っていましたが、入口も別に男女の区別が無い様子です。
他の温泉では混浴でも入口は別々だったのになぁ。
取敢えず、奥の入口の前にスリッパがあるので、先客はそちらから入ったみたい。
私も習いましょう。(^_^)
扉を開けて見て、びっくり! な・なんと豪快な!(何故びっくりしたかは行って見てのお楽しみ!)
大浴場は明治28年に建築された、鹿鳴館風の造りになっています。
もちろん、ここも全て木造で、床面積の殆どが浴槽に割り当てられています。
浴槽は4つあり、それぞれの底から湯が直接湧くという、まさに源泉の上に造られた浴槽です。
底には小石が敷き詰められていて、その隙間からポコポコと湯が時折湧き出てきます。
湯の温度はそれぞれの浴槽で異なっていて、左手前が一番温度が高くて、反時計回りに温度が低くなっていって、左奥の浴槽が一番低くなっていました。
それでもちょっとぬるめ位の温度で、どの浴槽でもだいたい適温でした。
手前の2つが「旭の湯」、奥が「寿の湯」と名付けられています。
どうも源泉が異なっている様です。それで温度もちょっと違うのかな?
好きな温度の浴槽を選んで、適当な岩のある位置で、浴槽に浮かんだ丸太に頭を乗せる・・・
あーー、気持ちいい!
天井には巨大な梁、窓の外には鮮やかな緑と川の流れ。川に近い分、カジカの鳴声が良く聞こえます。
いいなぁ。
予想より遙に気持ちの良いお風呂で、このまま、何日も逗留したいと思いました。
強いて欠点をあげるとすれば、洗い場が無いことでしょうか。なにせ、殆どが浴槽ですから。
しかし、それもここではそれが自然なような気がします。
とてもいいお風呂なんで、女性の方も是非入って欲しいと思います。
夜は電灯がかなり暗目なので。
朝の7時から8時が女性専用タイムに割り当てられてはいますが、それだけじゃもったいない! 実際、何人もの方が入っていましたし。
出来れば、平日の人が少ない時に是非行って見てください。
大浴場の他には女性専用の浴室があります。
大浴場が女性タイムの間は、男性用として使われますので、こちらにも入りに行きました。
川縁に建てられたやはり木造の浴室で、こちらには洗い場がちゃんとあるところなど、女性用の配慮がされていますね。
ここもやはり湯船の底には小石が敷かれ、底から湯が湧き出て来ます。
壁の白木や、床の滑り止め(?)の彫り込みがいい雰囲気です。
4〜5人で満員になりそうなお風呂ですが、それでもゆっくり入っていたいお風呂ですね!
なお、年内に露天風呂を造る計画があるそうです。
これはまた行くしかないかな?(笑)
夕食は山の幸のオンパレードでした。
ヤマメの塩焼きと鴨の陶板焼きが美味しかった−−!
あと、温かいものを温かいうちに出してくれるのもいいですね。
味つけは好みが分かれるかな? 薄味好みの私には濃かった・・・(^^;)
じつは、行ってみるまで「有名な温泉だから、俗化しちゃったか?」と不安でした。
でも泊って見て、それはいい方向に裏切られました。
最初に法師温泉に抱いたイメージそのままの温泉宿で、また泊りたいと思わせてくれた、いい宿でした。
法師温泉 長寿館〒379-1401 群馬県利根郡新治村法師温泉 Tel: 0278-66-0005交通: JR後閑もしくは上毛高原駅より猿ヶ京温泉行きバス、終点にて村営バス
法師温泉行きに乗換え終点
日帰入浴: 可(10:30〜14:00) 昼食付きセットもあり
付近のみどころ
おまけ
切り絵の部分も夜には灯が灯るのでしょうか?
油山温泉は、静岡市内からバスで約30分、安倍川を遡って行った山の中にある温泉です。
バスが初めて安倍川を渡るとすぐ、油山のバス停。ここから安倍川から離れ、2km程行った山の中に油山温泉はありました。
泊ったのは油山に3軒ある旅館の内で最奥にある「元湯館」です。
白壁・なまこ壁の民芸調の建物です。逆光になってしまった(;_;)
玄関を入ると左手に岩壁が露出している所があり、鳥居が見えます。温泉を奉っているのかな?
案内された部屋は左手にずーーっと行った2階の部屋でした。2階といっても建物が川に沿った斜面に建てられているので、玄関から見ると3階に相当しているのかな?
この辺りまで来ると両側の山が狭まり、谷間にいるようです。この先には、もう民家も無いようで、本当に静かです。聞こえるのは前を流れる小川の水音だけです。
標高は何mでもない筈ですが、山間のため風がとても涼しくて気持ちいい!
浴室は大小の岩を配した岩風呂です。
奥の大岩から湯が流れ出てます。
「油山」という名前からちょっと悪い想像をしていたのですが、実際はさらさらしたアルカリ泉でいいお湯でした。
写真では黒く写っていますが、底が黒いだけで、湯は透明です。
左の外に向いた大きな窓からは間近に迫る山の緑が良く見え、露天風呂に入っている様な雰囲気です。少し低めの湯温と相まって、長湯しそう。
もう一つの浴室も半分ほどの大きさながらも造りは一緒で、やはり向こうの山が良く見えました。
客の構成比で男女を入れ換えているのでしょうか?
最初に入りに行った時はこちらが男湯でした。(^_^)
食事は、お食事処「薪木の間」で、囲炉裏を囲んでいただきます。
自家養殖のヤマメが名物のようでしたが、その他、鹿刺しやうなぎも美味しかった!
品数も量も充分で、大満腹(^_^)
油山温泉はあまりメジャーな温泉地ではありませんので、正直ちょっと不安でしたが、いい意味で裏切られました。
市内からそれ程離れていないにも関らず、いい環境といいお湯と美味しい食事で、また行きたいと思う温泉でした。
6月中旬には、前の小川で蛍の乱舞が見られるそうなので、その頃に行ってみたいですね。
油山温泉 元湯館 〒421-2123 静岡県静岡市油山2325-4 Tel: 054-292-0155交通: JR静岡もしくは静岡鉄道新静岡より路線バス安倍線、油山下車
徒歩30分(バス停から送迎あり)
日帰入浴: 可
付近のみどころ
静岡市内付近では、登呂遺跡や日本平、安倍川源流近くには落差80mの安倍の大滝がある。![]()
![]()
安倍の大滝の写真はNTTの「しずおか滝紀行」
( http://www.shizuoka.ntt.co.jp/wnn-c/shizen/theme9708/index.html )
の写真を縮小して使っています。
おまけ
大井川といえば、細〜〜〜い吊橋が有名ですが、油山より10km程上流の安倍川にも吊橋を発見! 渡って来ました。
板2枚分の幅以外はワイヤーのみ。手すりも無いに等しい状態です。
上下に揺れるのは当然ですが、それに加えて、左右&捩じれ方向にも揺れるのでとても恐かったです。(渡り口の看板には「一人以上で渡るな」と書かれています)貴重な体験をさせて戴きました。
当地では重要な交通手段だと判ってはいつつも・・・(^^;)
9月はちょっと遅い夏休みを取り、九州は大分まで足を延ばし、私のお気に入りの由布院に行って来ました。
由布院は別府から西に峠一つ越えた、豊後富士=由布岳の麓に広がる由布院盆地にあります。
久大本線に乗って由布院駅に降りるとまず、その駅舎に驚きます。
![]()
一見、美術館の様にも見える黒塗りの木造の駅舎です。
実際、写真の右側の部分がギャラリーになっています。また、改札がなく、素通りになっているのも珍しいですね。
この様な改札のない駅も最近はあちこちに見られるようになって来ましたが、由布院が先駆けだそうです。
由布院の由布院らしい(と思う)所は、駅から15分位の所にあります。
駅前から、真っ直ぐ延びる「由布見通り」を歩いて行きます。
この通りは天気が良いと、正面に由布岳を仰ぎ見ることが出来るのですが、この日はあいにくの曇天。麓しか見えませんでした。暫く歩いて行くと、落ち着いた木造のお店が立ち並ぶ一角に入ります。
ここが「湯の坪」という所で、ここまで来ると、「あー!由布院に来たんだなぁ」という気がしてきます。
湯の坪の中程のT字路を右に折れ、川に突き当たると、共同浴場「ゆのつぼ温泉」があります。
![]()
以前に来た時は、コンクリート製の建物で、しかも村民以外は入浴禁止でした。
それが、いつのまにか風格のある建物に建て直されて、そして、外来も入浴出来るようにしてくれたようです。荷物を宿に預け、早速入浴してみました。
![]()
入口にある黄色い料金箱にお金を入れて入ります。
中もいい感じの浴室です。
木の縁の浴槽で底は鉄平石敷き。
透明で綺麗なお湯が溢れていました。温度はちょっと高め?でも気持ち良かった!
さて、由布院を代表するお風呂と言えば、「下ん湯」です。
![]()
下ん湯は金鱗湖の東端にある、茅葺き屋根の外湯です。
金鱗湖は由布院らしさの要とも言うべき湖で、ほぼ長方形の長辺100m短辺75mの小さな池です。
湖底の下ん湯側からは温泉が、反対側の底からは清水が湧き出ていて、冷え込みの強い朝などに有名な朝霧が発生します。(少し湯気が上がっているのが見えますか?)
下ん湯の手前を流れる小川にも温泉が流入しているので、少し温かくなっています。
さすがは、温泉湧出量第3位の由布院ですね!
時々、地元の方々が小川の洗濯場(屋根のある所)で洗濯されています。![]()
金鱗湖は小さな池ですが、下ん湯側から見る光景は、まさに「しっとりした」という表現がピッタリに思えます。
ツアーの観光客などは、この反対側から見て、「なーんだ」とがっかりして帰る人が多いようですが、是非、足を延ばして下ん湯側からの金鱗湖を見て下さい!
この光景を見ないで、由布院に来たとは言えないでしょう!!
さて、下ん湯も無人なので、入口の箱に入浴料100円を入れて入ります。
![]()
中には木の縁の湯船と露天の二つの浴槽があります。
中の湯船が温度高めで、温泉は湯船の横から直接注ぎ込まれています。露天からは金鱗湖を生け垣越しに眺めることが出来ます。
以前に入った時は露天の方は砂利底でしたが、コンクリート底に変わっていました。
砂利の方が足が気持ち良かったのですが、やっぱり掃除が大変なのでしょうか?
ちょっと残念。いやー、気持ちいい!
わざわざ入りに来るだけの価値はあるというものです。
さて、今晩の宿は「御宿 天日(てんにち)」という、ゆのつぼ温泉近くの宿です。
白い漆喰と黒い柱で、宮大工によって建てられた、どっしりした建物です。
案内された部屋も落ち着いた雰囲気で、寛げました。
さて、まずはお風呂へ!
お風呂は別棟になっていて、玄関から下駄履きで行きます。写真左の植え込みの奥に浴舎があります。
![]()
お風呂場も白漆喰の木造の建物です。
岩風呂風の浴槽に熱く透明な湯が溢れています。
さすが、湯量の豊富な由布院! どんどん溢れ出ていました。
熱すぎる時は水を左の竹の樋を通してうめる仕掛けです。あまり広くありませんが、気持ち良いお風呂でした。
写真は男湯ですが、女湯も同型同大の様です。
この他に男女別の露天風呂もあります。
![]()
こちらは、大岩と周囲の緑で深山幽谷の雰囲気。
天日はちょっと奥まった位置にあるためか、とても静かで、聞こえるのはセミの声と鳥の囀りのみ。
まるで山の中の一軒宿の様でした。
食事はこれまた別棟の食事処でいただきます。
![]()
ここは「天日彫刻館」という美術館を併設しているのですが、その彫刻館の中庭を眺めるお食事処です。
そんなに豪華な食材は使っていないようですが、地の物ばかりで美味しかった!
特に、地鶏の土瓶蒸しと揚げ出し豆腐が最高!
あと、別注で頼んだ地酒の「はなり」も美味しかった。
泊ったこの日は日曜日にも関らず、ほぼ満室でした。
それでもとても静かで、聞こえるのは虫の声だけで、ぐっすりと寝ることが出来ました。
実は前回泊った宿が取れずに偶然見つけた宿でしたが、予想以上に良い宿でした。
料金もリーズナブルでお薦めです!
由布院温泉 御宿 天日 〒879-5102 大分県大分郡湯布院町湯坪 Tel: 0977-85-2240交通: JR久大本線由布院駅より徒歩15分 または別府行きバス湯坪下車 徒歩5分
日帰入浴: 不詳(たぶん可)
付近のみどころ
由布院には、民芸館をはじめ、空想の森美術館等の美術館、ハーブ園など一日では回り切れないほどの施設が点在しています。 仏山寺、天祖神社、宇奈岐日女神社などの神社仏閣もたくさん!![]()
空想の森美術館の写真は[由布院空想の森美術館ホームページ]
( http://www.nttl-net.ne.jp/kuusounomori/index.htm)
の写真を縮小して使っています。